東京高等裁判所 昭和46年(ラ)221号 決定
一、訴訟費用額確定決定申立に関する費用は、訴訟費用の負担についてなされた本案事件の判決の内容を確定する手続費用であるから、裁判所はその費用につき、さらに訴訟費用額確定決定申立に関する費用負担の裁判を待つまでもなく、職権を以て、当該事件の訴訟費用額決定に際し、本案事件についてなされた訴訟費用負担の裁判の趣旨に従い、本案事件の訴訟費用と共に一括計算してその額を定むべきものである。そして本件記録によれば、本案事件の各審の裁判において、訴訟費用はすべて抗告人において負担すべきものとされているのであるから、原決定が本件訴訟費用額確定決定の手続費用を訴訟費用として計上したことに何等違法の点はない。
二、本件訴訟記録を調査してみると、原決定別紙計算書記載の訴訟費用中抗告人の指摘するもののうち番号14、41、42を除くその余の費用はすべて正当な訴訟費用の範囲内に含まれるものと認められるが、番号14の「支払命令申請書記料一、八五〇円」は一、二〇〇円が、番号41の「申立書記料(計算書二四枚含)一八〇円」は、申立書一枚分および計算書(原本および謄本)四枚分の七五円が、また、番号42の「申立書提出日当五〇〇円」は、―記録上本件申立書は郵送されていることが明らかであるから、特段の事情の認められない本件では―普通郵便料金相当額の一五円が、それぞれ正当と認められるので、右各項目の金額の差引額合計金一、二四〇円は、本件の訴訟費用に含まれないというべきである。しかしながら、訴訟費用額確定に関する手続は、本来非訟事件として訴訟費用の数額を確定する手続であるから、裁判所は当事者の申立てた総計額を超えない範囲内においては、不当な費用の項目金額を削除もしくは減額する一方、当事者の申立てないものであつても、記録上明白な費用の項目、金額については、職権を以てこれを加算することができるものと解されるところ、本件訴訟記録によれば、相手方代表者が本訴の第一審における昭和三八年一〇月一八日の第五回口頭弁論期日に出頭して代表者本人として尋問を受けた日当金一、〇〇〇円および相手方代理人に対する昭和三七年一二月二八日証拠説明書一通の執行吏送達費用、昭和三八年四月一一日口頭弁論期日呼出状一通の執行吏送達費用各金一九五円(第一審記録三四一丁、三四八丁)は、いずれも本件の訴訟費用として計上すべきものであり、以上合計金一、三九〇円を加算すれば、本件訴訟費用の総額は金一三、一一六円となるので、原決定が本件訴訟費用の総額を右金額の範囲内である金一二、九六六円と確定したことは結局相当であることに帰する。
(多田 下門 兼子)